フリーで行くと自分で決めました
昔から、人が普通にやっていることがうまくできない。
頑張っても空回りをする。
「普通」なんてものは実体がないのだと気づいたのはいつだったか。
それでも、今も時折、世慣れていない自分に落ち込む。
故あって自分自身の生き方や仕事の仕方を見直している。
私は新卒で企業に就職することに失敗した口で、個人事業主として働き始めたのはそれしかなかったからという事情からである。
「フリーで働いているなんてすごいですね」と時々言われるが、組織から「あなたはいりません」と言われた身としては、会社で働いている人たちは本当にすごいなと思う。
フリーで働いてきて15年、ここにきて、ようやくこれからもフリーで働いていこうと決めた。
やむを得ないからではなく、それ以外に道がないからというわけでもなく、自分で決めたのだ。
自分を社会に役立てていく。
そのためには、人がやっている「普通」を真似してやるのではなく、私だからできることを磨いていかなければならない。
もう30も後半に差し掛かり、遅まきながらようやく覚悟がお腹の中に収まった感じだ。
やらなければならないこと、そしてもっとできることがまだまだたくさんある。
ひとつひとつ、やっていこう。
わからないということ
Twitterをしていて楽しいことのひとつに、普段は知り得ないはずの人の呟きを見ることにある。
海外に住む人、地方で子育てをする人、大都市で働く人。
年齢も、住む場所も、収入も、幸せも、抱えている悩みも、全くバラバラの人たち。
どこまで本当で、どこまで嘘かはわからない、SNS上に流れる膨大な言葉の連なり。
統一されたフォントで並ぶ言葉からは、不思議と多種多様な手触りが伝わってくる。
書かれている内容は理解できることもできないこともあって、感動したり嫌悪することも混ざっていて、そのごちゃまぜの感じが面白くて、Twitterを何年も気ままに眺めている。
いつ思うのは、「人は、私が想像も及ばない世界を内包している」ということ。
人は他人のことを自分が見える範囲で判断してしまいやすい。
この人はああいう人。あの人はこういう人。
勝手にラベルを貼って、項目分けをする。
でも、人間はそんなにシンプルな作りをしていない。
いつも元気なあの人が、実は何年も大きな病と闘っている。
言葉のキツイあの人が、実は誰よりも繊細だったり。
優しさも残酷さも、光の当たり具合によって、その日の気分の違いによってさえ、出方が違う。
多面的で、多層的で、奥行きがある。
目の前の人の、私が見えている部分はほんの少しの部分である、という事実を、心のどこかに持っていなければいけないと常に思う。
近しい人であっても、全てを理解できるわけではない。
見えていない部分への想像力。
わからない余白があるということ。
「わからない」ということはとても大切だ。
自分の想像が及ばない世界があるという事実を知ることは、謙虚さに繋がる。
謙虚さは、敬意を生む。
想像力と敬意。
それが、人と付き合うときに大切にすべきことだと思う。
大人としての気遣い
慣用句のように自分を落とす表現を使う人がいる。
「あたしもうオバサンだから~」
「こんな気持ち迷惑だと思いますが」
人からの、「そんなことないですよー」というフォロー待ち。
あるいは、「自分はちゃんとわかっていますよ」という謙虚さを建前とした、傷つかないための防御。
私も前は無意識に使っていたけれど、ある時を境にすっぱりやめた。
自己卑下は謙虚でもなんでもなく、むしろそばにいる人にとって負担になることに気づいたから。
自分をおとしめる発言をしない。
褒めてもらったら「ありがとうございます」と微笑む。
その2つを守るだけで、自分も周りもリラックスしてずいぶんと会話がしやすくなる。
相手と自分の両方を大切にできる方法だ。
もし自分に自信がないのだとしても、他人を巻き込まない。
人にフォローしてもらうことで不安を紛らわせることをやめよう。
愚痴や弱音は相手と場所を選ぼう。
簡単なようでいて、実は難しい。
でも、大人になったら必要な気遣いのように思う。
4月に読んだ本
4月に読んだ本です。
一冊一冊時間をかけて読んだために今月は5冊。
やっぱり一番印象深いのは雨宮まみさんの「女子をこじらせて」です。
読書メーターの感想では足りなくてブログに書いたくらい。
最近あまり漫画本を読んでいませんでしたが、5月からはまた少しずつ再開しようと思っています。
楽しみだなー
4月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1717
ナイス数:68
木暮荘物語 (祥伝社文庫)の感想
築ウン十年の古いアパート「小暮荘」の住人を中心に紡がれていく短編集。恋と性と生と。3年前にいなくなった恋人が戻ってきて、今の恋人とおかしな三角関係になる繭。真面目にセックスしたいと悩む70代の大家。階下の女子大生の生活を覗き続ける神崎。子供の望めない体と知り、性に奔放に生きる女子大生の光子。文中にさらりと現れるふとした一文が本当に巧みです。生きていくおかしみや悲しみが優しくユーモアにくるまれていて、読んでいくうちに小暮荘の住人たちに愛しさを覚えるのです。
読了日:04月03日 著者:三浦 しをん
沈黙博物館 (ちくま文庫)の感想
博物館を作るためにある村にやって来た博物館技師の「僕」。齢100に近い依頼主の老婆から受けた仕事は、死者たちの形見を展示する博物館を作ることだった。小川洋子さんが描く、幻想的で蠱惑的な世界に酔って囚われてしまいそう。最後のページをめくった暁に、世界のどこかにある沈黙博物館への扉の鍵を手にすることができるのかもしれません。
読了日:04月12日 著者:小川 洋子
女子をこじらせての感想
「こじらせ女子」という言葉の元になった、雨宮まみさんの本。いやもう…前半から怒涛の勢いで圧倒されます。「こんなに自分のセックスや恋愛をむきだしに撮る人がいるのか。こんな表現があるのか。見たことも触れたこともないものでした。」という文章があるのですが、まさしく私の心境そのもの。まみさんがどう「女」を、「セックス」を、「私」をこじらせ、傷つき、そして立ち向かって行ったかが、生々しく描かれています。血みどろの傷だらけでそれでも立ち上がる姿に泣きたくなります。もっと、もっとまみさんの文章が読みたかったな。
読了日:04月18日 著者:雨宮 まみ
ワーキング・ホリデー (文春文庫)
読了日:04月22日 著者:坂木 司
塩狩峠 (新潮文庫)の感想
北海道の塩狩峠で起きた鉄道事故を元に書かれた小説。暴走した列車を止めるために、自らの命を犠牲にした青年の生涯を描いている。彼がどこに向かっていくのか知っているだけに、真摯に生きる姿に胸が苦しくなる。生きるとは何か、愛とは何かを読者にまっすぐに問うてくる小説だ。
読了日:04月29日 著者:三浦 綾子
読書メーター