春は不安定だ。
陽の光が透過する力が強くなるのと共に、自分の中の暗闇にも光が当たる。
心のみにくさに触れると、嫌悪感とともに、どこか安らぎを覚えることがあるのはなぜだろう。
ぞろぞろと這うものに耳を傾ける。
なぞった形に陶酔する。
昏いものに身を委ねてしまいたくなるとき、私はうつくしいものに触れることにしている。
うつくしさはただそこにあって、すっと透明な光を差している。
黒々とした心に風が吹き込む。
私は、みにくさを引き連れたままで、うつくしさの指し示す道を選ぶ。
うつくしさは、行くべき道を指し示してくれる道しるべだ。