白い猫の来た道

日々つれづれ

9月に読んだ本

9月に読んだ本です。

今月はもう何と言っても上橋菜穂子さんの「獣の奏者」ですね。
読み始めたらとんでもない勢いで物語に飲み込まれていきました。
久し振りに、ご飯を食べる時間も惜しくて食べながら読んでました(行儀が悪くてすみません)。
圧巻でした。
さてさて、10月もぽちぽち読んでいきますよー。


9月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:5704
ナイス数:144

知ろうとすること。 (新潮文庫)知ろうとすること。 (新潮文庫)
読了日:09月05日 著者:早野 龍五,糸井 重里
狐笛のかなた (新潮文庫)狐笛のかなた (新潮文庫)感想
精霊の守り人シリーズ」の上橋菜穂子さんの長編です。1冊で完結。人の心が聞こえる能力を持った少女と、使い魔として生きる霊狐の少年が、隣国同士の争いのただ中に巻き込まれていく物語です。「精霊の守り人」もそうでしたが、上橋さんが描くファンタジーは児童文学でありながら、ひりひりした寂しさを感じる薄闇が世界を漂っていてとてもリアリティがあります。子供たちが壮大な世界へ飛び込む扉を担っている本は、大人ももちろん楽しめます。上橋菜穂子さんの入門書としてはとてもいい1冊だと思いました。
読了日:09月08日 著者:上橋 菜穂子
キャロリングキャロリング感想
クリスマスに倒産を控えた会社を舞台に、成熟した大人になりきれない大人を親に持った登場人物たちが織り成す物語。家族に問題を抱えた人と、恵まれた家庭に育った人の心のすれ違いは、持つ者と持たざる者という様々なケースに当てはまりますね。人は、その壁を乗り越えていけるものと信じたい。読後、温かい気持ちになります。
読了日:09月09日 著者:有川 浩
羊たちの沈黙〈下〉 (新潮文庫)羊たちの沈黙〈下〉 (新潮文庫)感想
ジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンスの映画で有名な「羊たちの沈黙」。2012年に新しい訳で出版されたものです。読みやすい文章。稀代の「悪」は、天災のようにやって来て人を悲劇に巻き込んで行く。怖気がよだつような事件はまた、人間が抱える一つの側面を表しているのかもしれません。
読了日:09月10日 著者:トマス ハリス
忘れられた日本人 (ワイド版 岩波文庫)忘れられた日本人 (ワイド版 岩波文庫)感想
日本全国を歩き、各地の民間伝承を調査した宮本常一氏著。本書では、文化の伝承を担う老人たちに焦点を当てています。歴史に埋もれる辺境の地で、黙々とたくましく生きる人々の知恵と文化。寄り合いの様子、家族の様子、文字を持つ人持たない人、村を牽引する人のあり方、現在よりもはるかに自由度の高い男女の営み…。明治から昭和初期の地方の人々がどのように暮らしていたのかが垣間見えて面白かったです。
読了日:09月15日 著者:宮本 常一
聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)感想
世紀末を無事に乗り越えたイエス・キリストブッダが休暇を取って下界に降り、日本の立川のアパートで共同生活を送る日々を描いた漫画。真面目で堅実なブッダとお調子者だけど純粋なイエスが、神として(余計な)奇跡をところどころ起こしつつも日本での暮らしを地味に楽しんでいます。この設定の訳のわからなさだけで面白いんですが、これ宗教的に大丈夫なのかな…という余計な心配をちょっぴりしつつ、でもやっぱり面白い。今まで読んだことなかったなんてもったいなかったなー。
読了日:09月17日 著者:中村 光
聖☆おにいさん (2) (モーニングKC)聖☆おにいさん (2) (モーニングKC)
読了日:09月17日 著者:中村 光
聖☆おにいさん(3) (モーニング KC)聖☆おにいさん(3) (モーニング KC)
読了日:09月17日 著者:中村 光
聖☆おにいさん(4) (モーニング KC)聖☆おにいさん(4) (モーニング KC)
読了日:09月17日 著者:中村 光
聖☆おにいさん(5) (モーニング KC)聖☆おにいさん(5) (モーニング KC)
読了日:09月18日 著者:中村 光
聖☆おにいさん(6) (モーニング KC)聖☆おにいさん(6) (モーニング KC)
読了日:09月18日 著者:中村 光
聖☆おにいさん(7) (モーニング KC)聖☆おにいさん(7) (モーニング KC)
読了日:09月18日 著者:中村 光
聖☆おにいさん(8) (モーニング KC)聖☆おにいさん(8) (モーニング KC)
読了日:09月18日 著者:中村 光
獣の奏者 I 闘蛇編獣の奏者 I 闘蛇編感想
精霊の守り人」の上橋菜穂子さんの新たな物語。人が獣を飼い馴らし利用する世界で、人とは交わらぬ一族の血を引く少女が運命に翻弄される中、力強く生き抜いていくファンタジーです。「精霊の守り人」よりもさらに全体的に暗い空気ですが、緻密に作り込まれた世界観、架空の獣たちのリアリティに、ページをめくる手が止まりません。早めに2巻に進もうと思います。
読了日:09月18日 著者:上橋 菜穂子
聖☆おにいさん(9) (モーニング KC)聖☆おにいさん(9) (モーニング KC)
読了日:09月19日 著者:中村 光
聖☆おにいさん(10) (モーニング KC)聖☆おにいさん(10) (モーニング KC)
読了日:09月19日 著者:中村 光
獣の奏者 II 王獣編獣の奏者 II 王獣編感想
ただただ王獣を助けたい一心で、王獣と心を通わせる術を自ら見つけたエリン。そこからクライマックスに向け、王国の争いに巻き込まれていくエリンにとって、ひたすら混迷の扉を開けていくような辛い展開が続きます。それでも、物語に飲み込まれるようにページを進んでたどり着いた最後にようやく見えた一筋の光明。最後2ページは、胸が苦しくなるほど熱く心が動きました。少女時代はこの2巻で終わり、3巻では大人になったエリンが登場します。すぐにそちらに進みます。
読了日:09月21日 著者:上橋 菜穂子
獣の奏者 (3)探求編獣の奏者 (3)探求編感想
2巻から11年後のお話。エリンとイアルは結婚し、息子も生まれひっそりと静かに暮らしています。しかし、いまだ真王派と大公派で国は二分しており、そこに迫る隣国の脅威により、王獣と闘蛇を操る術を持つエリンはまたもや国の混乱に巻き込まれていきます。迷いながらも覚悟を持って平穏な生活を紡いできたエリンとイアルの姿が心底切ない。平穏な日々がこの家族に訪れるよう願ってやみません。早めに4巻に進みたいと思います。
読了日:09月22日 著者:上橋 菜穂子
金田一家、日本語百年のひみつ (朝日新書)金田一家、日本語百年のひみつ (朝日新書)感想
私の中で「金田一」といえば、昭和の陰惨な殺人事件を解決するよれよれの袴姿の探偵か、その孫で「ジッチャンの名にかけて」が決め台詞の高校生か、日本語辞書編纂で有名な金田一京助先生なんですが、本書は金田一京助先生の孫で、自身も国語の研究をしている金田一秀穂氏著のものです。京助から三代続く「金田一国語商店(本文より)」の三代目として、言葉の変遷、言葉への特別な思い、知というものへの敬意が、時にはコミカルに、時には真摯に綴られていて、非常に面白かったです。
読了日:09月25日 著者:金田一秀穂
獣の奏者 (4)完結編獣の奏者 (4)完結編感想
いつの時代も争いを起こす人の性。野にある獣を人間のエゴで作り変える罪。子の独り立ち。多くのものを背負い、罪に飲み込まれそうになりながらも前を向く人々の強さ…。様々なテーマを壮大なファンタジーの中で描き切った物語の完結編。読んでいるこちらの胸が痛くなるほど傷だらけになりながらも、最後まで自らの信じる道を突き進んだ主人公の強さが胸に迫るお話でした。圧巻。
読了日:09月26日 著者:上橋 菜穂子
獣の奏者 外伝 刹那獣の奏者 外伝 刹那感想
エリンとイアルが共に生きることになった経緯、エサル師の若き日の恋、エリン一家の日々を描いた3本立ての外伝です。上橋菜穂子さんはあとがきで「人生の半ばを過ぎた人」に向けられた物語になったようだと書かれています。私のようにまだその年齢には満ちていなくても、エリンとイアルが戸惑いながらもお互いの手を取るところや、エサル師のつらい恋の描写は、多くの大人が抱えた大小の傷にしみるのではないかと思います。過酷な人生を、力強く生きた人々の物語。本編だけではなく、この外伝もあって良かったです。
読了日:09月28日 著者:上橋 菜穂子
多眼思考 ~モノゴトの見方を変える300の言葉! ~多眼思考 ~モノゴトの見方を変える300の言葉! ~感想
社会派ブロガーちきりんさんのTwitterでの言葉を集めた本です。どんな視点で物事を見ているのか、そのエッセンスが詰まっています。「すごい人に会って、憧れているようでは話にならない。悔しがらないと」「忙しい忙しいって言うと私は人生で何が大事かわかっていませんと言ってるみたいな気になるから言いたくない」「あたしはホントに自分がどう生きたいのかわかることがとても大事だと思ってる」一つのテーマについて書き下ろされた本の方がより深く考える基底になりますが、ちきりんさんの膨大な思考の一端に触れるのに最適な本です。
読了日:09月29日 著者:ちきりん
営繕かるかや怪異譚営繕かるかや怪異譚感想
古い家屋にまつわるホラー小説の短編集です。開かずの間を這いずり回るモノ。屋根裏から覗くモノ。古井戸からやって来るモノ。雨の日に死を告げに来る喪服の女…。思わずぞわりとする筆致は流石の小野不由美さんです。夜中に読み始めて後悔しました…。建物を直す営繕屋の尾端が行うことは、霊を祓うのでもなく成仏させるのでもなく、建物の一部を直すことで、普段交わることのない世界との境界線の綻びを繕うこと。それは、自分以外の何か、目には見えなくても存在する何者かへの敬意のように思えました。怖いお話が好きな方にはおすすめの本です。
読了日:09月30日 著者:小野 不由美

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