白い猫の来た道

日々つれづれ

小悪魔系女子が20年後にイタリアのマンマになったお話

少し前に大学時代の友人と会った。
久し振りなこともあり、お互いの近況や共通の友人たちの話題が出る。
そこで、ある知人の話になった。
その人は共通の友人たちの中では有名な美人で、小動物系の顔立ちとゆるふわな雰囲気で男子学生からは大変にモテていた。
今で言うなら、桜井日奈子さんに似ている。
桜井さん(仮名)は恋愛関係が派手で、彼女のしたたかな部分が女子の間では一部不評だったことを覚えている。
小悪魔という言葉が一時期流行ったが、まさしく桜井さんは小悪魔系女子だった。


学生時代に飲み会で一度だけ話したことがある。
柔かな雰囲気で、気さくで、時々不意をついたように話題も体も距離が近くなる。
そしていい匂い。
同性ながらもドキドキして、これは男子たまらないだろうなあとか思ったりしたものだ。
でも、同時にどこか媚びみたいなものも感じて、あまり仲良くはなれそうにないなとも思った。


桜井さんは大学を卒業して数年後、絵に描いたようなエリートと結婚した。
彼が桜井さんに惚れ込んでの結婚だったそうだ。


その桜井さんの話題がものすごく久し振りに友人との間に出た。
友人が言うには、桜井さんの変貌がすごいらしい。
あのまま行けばVERY妻とか雑誌の読者モデルみたいな美魔女になっているだろう桜井さんの変貌ぶりとは。


友人に見せてもらったSNSでの桜井さんは、なんと大変にふくよかになっていた。
びっくりして2度見する。
写真の中で、お子さんと満面の笑顔で写っている女性。


小悪魔系女子だった桜井さんは、立派なイタリアのマンマのようになっていた。
きっとどこかですれ違っても気づかないだろう。


「えええ」「ほんとに桜井さん?」「うん、そう」「これは…変わったねえ」


そのあと友人と私の間で出たのは、「幸せそうだね」という言葉だった。


綺麗でいなくてもいい安心感。
何かを懸命に頑張らなくても大丈夫という自信。


どの写真もおおらかな笑顔で写る桜井さんから伝わってきたのは、そういうものだった。
なんだか人をほっとさせるものに満ちていて、桜井さんの幸せな生活が垣間見えるようだった。


それは私が勝手に感じたことで、実際の桜井さんがどのように生きているのかはわからないのだけれど。


小悪魔系女子ではなくなった代わりに、ふくよかで、おおらかで、明るいイタリアのマンマになった桜井さんは、なんだかすごくいいなと思ったのだ。