白い猫の来た道

日々つれづれ

子供だった頃の世界

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両親がずっと共働きだったので、私は1歳頃からずっと日中は預けられて育ってきた。


保育園に入る前は近所のお宅、保育園からは近くの母の実家。
近所のお宅でも母の実家でも庭があり、大抵はそこで日がな遊んでいた。


所々に置かれている岩の感触、苔の色、様々な植物や土の匂い、動物や虫の動き、啼く声、もう動かなくなっていた姿、日の光や日陰の陰影、風の向く先、どうやってうまく木に登るか、色とりどりの草花。


家の中で人形やおもちゃで遊ぶこともあったし、家にある同じ本を延々と繰り返し繰り返し読むことも多かったが、子供時代の遊びは主に外の風景で彩られている。


綺麗も汚いも良いも悪いもなく、目の前にあるものをそのまま触り、嗅ぎ、見ていた。


退屈だと思ったことも、母と離れて寂しいと思ったこともない。それくらい幼少時代の私にとって、世界は刺激で満ち溢れていた。


長じて大人になり、行動範囲は広く、知識も増えたけれど、あの頃と同じように世界を楽しめているかと言われると、残念ながらそうではない。
危険や不安を予測して、あえてやらないことも増えた。
心配事で頭の中が占められていることもある。
それらが全て大人になって得た悪い習慣だと思っているわけではない。


それでも、あの頃見えていた世界の鮮やかさを追いかけるような気持ちで生きていけたらいいなと思う。


目標は外にはなく、すでに自分の中にあったのだ。