白い猫の来た道

日々つれづれ

「正しい家計管理」で家計を見直してみた

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昨年末に読んだ、林 總(はやし あつむ)さんの「正しい家計管理」。
2014年の読みたい本リストの中にあったものの、どこで知ったのか覚えてなかったのですが、この本をリストに入れた当時の自分にグッジョブと言ってあげたい良書でした。


突然ですが、私は個人事業主として働いています。
安定とは程遠いところにあります。
ですから、わりとお金の管理に関してシビアにやっているつもりだったのですが、2年ほど前に1人暮らしを始めて以降、使う方に偏っているなあと感じていながらそのままにしていました(全然シビアじゃない)。
1人暮らしを始めるまでは、1人暮らしの準備費用、車の購入など、まとまったお金を用意するために、きっちり予算を決めて生活していたのです。
念願だった1人暮らしを始め、なんとかマイナスにならずに暮らしてはいるものの、気付けば収支の詳細があやふや。
お金の見直しをきちんとしないといけないなと思っていたタイミングでこの本に出会いました。


「正しい家計管理」は、企業などの管理会計の専門家である林總さんが提唱する、家計管理の方法を記した本です。
大きな特徴は次の2点。
1、節約ではなく、価値あるものにお金を使う
2、削るのではなく、価値をゼロから作り上げる

家計を扱うお金の本の中では節約の取り扱いがとにかく大きいものですが、本書は違います。
まず、自分が、自分の家族が、何に価値観を置くか。それを明確にします。
「一般的」「平均」というものと距離を置き、自分が価値を置くものに優先的に予算を割り振り、自分たちが定める目標のために貯蓄できるシステムを作る。
それは、どう生きたいかを自らに問う行為でもあります。


よく、それぞれの年代の平均貯蓄額や、お金を貯める人はこういう予算配分で暮らしている、など特集されていますが、一人一人全く違う人生を送り、それぞれの価値観の元で暮らしているのだから、参考にする程度で振り回されてはいけないんですね。
「正しい家計管理」では、家計のシステムを作るために、詳細な説明が加えられながら、現在の家計の実態を把握する→予算を立てる→見直す、を行なえるよう筋道立って章が作られています。
本の内容に沿って私もやってみました。

 

①家計の実態を把握する
まず、現在の家計の実態を把握します。
自分がどれくらいの財産を持っているか。年単位での収支はどうなっているか。
ノートを2冊用意し、1冊は財産目録、1冊は予算・収支を書き込んでいきます。

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左が財産目録、右が予算・収支。


この「正しい家計管理」のポイントは、アナログな手書きです。
林總さんはITを活用した管理会計のシステム化を専門としていますが、それでも手書きがいいと言います。
パソコンでの管理はとても簡単ですが、金銭感覚がバーチャルになりがちだそうです。
手書きだと、出て行くお金、手元にあるお金の感覚が、しっかり身につく。
収支の計算は家計簿ソフトやアプリでもOKですが、最終的な結果は手書きでノートに書き写すといいそう。

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私の手書きノート。
ふむふむなるほどー。


ではまず、財産目録を作っていきます。
財産…
財産というと、何やらものすごい額の貯金やら不動産やら宝石やらを思い浮かべる私。
そのイメージはひとまず置いといて。
同じ財産でも、プラスの財産とマイナスの財産に分かれます。
プラスの財産とは、お金及び売ればお金に変わるもののこと。通帳にある預金や、財形貯蓄、株式、不動産、手元にある現金がそれにあたります。
マイナスの財産とは、ローンなどの残高。
プラスの財産は大雑把にしか把握していなかったので、ここで初めて自分が実際に持っている財産を把握することに。
おお、思ったよりある…かな?でも、やっぱりもっと欲しいなあ。
そして、もうほとんど使っていなかったネット銀行の口座があったことを思い出し、解約することにしました。すっきり。
マイナスの財産は、大学の奨学金の返済分です。今年で完済するのであと少し。
それぞれ書き込んだら、プラスの財産からマイナスの財産を引きます。それが、持っている純資産です。
この純資産を、毎月1円でもプラスにしていく仕組みを作るのが「正しい家計管理」の方針。
実際に数字に書き出してみると、感動しますね。これが…私の…純資産…(じーん…)みたいな感じ。
頑張って増やそうと思えます。


次に、昨年の年間収支実績表を作成します。予算を立てる時の目安にするためです。

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本に載っている表をコピーすると使いやすいです。私は項目がかなり違ったため、自分で表を作りました。


自分がどのくらい年間で使っているのかわかれば、具体的な予算が立てやすくなりますね。
私は確定申告をする関係上、全ての収支をノートに記入しています。
でも、記入するだけでしたし、確定申告に必要な経費の割り出しではなく、生活費を年間でどのくらい支出しているか計算したのは初めてでした。
項目ごとに計算していくたびにドキドキする気持ち…
全部の支出を計算し終えたとき、昨年1年間の支出と、昨年1年間の収入の額が1万円も違わない額だったことに思わず叫びました。
ひ、ひえええええ〜〜ぴぴぴぴったりだ〜〜
昨年は仕事をセーブしていたので、収入も少なめ。

赤字にならなかっただけでも良しとする?
いやいや、やっぱり少しは貯金しておかなくちゃダメじゃない?
のせめぎ合いでした。


項目ごとの支出を見てみると、管理不能支出の中の仕事費と、管理可能支出の中の美容費が多いことに気付きました。
ちなみに、管理不能支出とは、家賃や保険、ローンなど、定期的に必ず出ていくお金のことです。
反対に、管理可能支出は、食費や美容費、衣料費、遊興費など、支出額がその都度増減するもの。
私は実家の一室を使って仕事をしているので、実家にお金を入れています。生徒用の駐車場を借りているので、その分の支払いもある。勉強のために今もレッスンに通っています。
これらの額が結構多いのですね。
でも、削るのは難しいなあ必要だからなあ…うーむうーむといったところ。
美容費は、髪のカラーリングをしている関係で美容院代が多くなっていました。
それと、美容が好きだから、細々手入れをしようとすると、ひとつひとつは額が大きくなくてもそれなりになるのですね。
ここも再考しなければならないようです。


ほかは、まあこんなものじゃろうか、いや、むしろ頑張ってやりくりしてるよなあと自画自賛の額となっておりました。


次に、特別支出の算出。
毎月固定で出ていくもののほかに、1年のどこかでどかんと支払うものがありますね。車検、旅行、家電、ご祝儀、贈り物、などなど。これが、実はとても大きいのです。
試しに、今の段階で予想できる、今年の特別支出を書きだしてみたら、予想以上の額に。
2回目のひええええええです。
これもひとつひとつ見直しつつ、毎月の家計に組み込んで予算化し、プールしていく必要があります。
実は、私は月収に増減があるため、額が大きい特別支出に関しては、今までも少しずつ貯めてから支払うようにしていました。
そうしないと、収入が少ないときに支払う必要があるとき、貯金を切り崩さないといけなくなりますからね。
でも、1年の総額で考えたことがなかったので、その額の大きさに正直たまげました。かなり出て行くね!
この時点で、これからやる予算立てに暗雲が立ち込めてくるような気持ちがしたものです…。

 

②予算を立てる
さあここからが最も大事なところです。1年間の収入予算、支出予算を立てていきます。
予算を立てなければ、何にどのくらいお金を使っていいのかわからないまま、どんぶり勘定でやっていかなければなりません。
それでやっていける人はいいんじゃないの?とぼんやり考えていた私。しっかり本書で、それはいかん、と教育的指導を受けました。
引用してみますね。

 

どんぶり勘定で家計の実態が見えていないのは、非常に恐ろしいことです。収入が低いことよりも、実態が見えていないことのほうが怖いと私は思います。
お金を使う時の判断基準となる「ものさし」を持てないと、なんとなくお金を使ってしまう。そうすると、本当にほしいものが手に入らず、自分の人生の夢や目標が達成できなくなってしまいます。
そもそも、本当に欲しいものがわからない、人生の目標そのものがあいまいだからこそのどんぶり勘定ともいえます。
どんぶり勘定をやめると、気持ちよくお金が使えるようになります。同時に、支出を我慢するときもストレスがなくなります。お金を使うにせよ、がまんするにせよ、それが自分と家族の夢につながっていることが実感できます。
どんぶり勘定のままでは、お金にまつわる不安やストレスから解放される日は、永遠にやってこないのです。(一部省略致しました)

 

ここらへん、いろんな意見があると思います。今、生き方やお金に関する価値観は、どんどん多様化していますものね。
ちなみに、私の母は昔からかなりどんぶり勘定でやっているようです。それでもなんとかやっているし、その方がおおざっぱな母には合っているようです。たぶん、細かく予算化とかそっちの方がストレス!とか言いそう。
私は、林さんが言うように予算を立てた方が気持ちよくお金が使えます。予算をきっちり守るというよりも、予算が目安になるから、今月はこの項目ではあとこれくらい使えるな、とわかって買い物の計画が立てやすいのです。せっかく買うなら、気持ち良くにこにこ買いたいじゃないですか。使っちゃって大丈夫かな?と不安になるのはもったいない。


予算を立てる際に大事なのは、『過去(昨年の収支実績)を参考にしながら未来をシミュレーションし、あなたが計画した将来の姿を現金収支で表現すること』だそうです。
これから先1年、どう生きていきたいか?やりたいことは?1年ではなく、3年後は?5年後は?
その計画に沿って、限りある収入を自分にとって価値あるものに振り分けていく。
現実と夢を融合させる試みですね。うむうむ、楽しそう。

 

さて、それではまず1年間の収入予算を立てていきます。
会社員の方であればボーナスや臨時収入など諸々あるのだと思いますが、私は自営業なので、月々の収入のみです。わかりやすい。
フリーランスや自営業者は収入に増減があるので、予算を立てる際は少なめの設定にした方が良いそうです。

 

次に、支出の予算を立てていきます。
ここでも1年単位で予算を立てるように本では言われていますが、私はひとまず1ヶ月で予算を立ててみました。林先生ごめんなさい。
1年だと額が大きすぎて現実味がなかったのです。


まずは管理不能支出を書き出していきます。
毎月必ず出ていくお金。預金もこちらに含めるそうです。余ったら預金、じゃいけないんですね。預金を管理不能支出にがっちり固定することが、貯蓄システムにとっては肝心なことです。
その次に、水道光熱費など、毎月出ていくけれど増減があるもの。
もうすでにこの時点でかなりの支出予定となっています。うわわわ。
でも、おおよその家庭が管理不能支出の割合が大きく、管理可能支出は全体の2割ほどなのだそうです。ほっ。
慌てたりほっとしたりと忙しい私。

 

管理不能支出を書き出したら、残りのお金で管理可能支出の予算を立てます。
ここは、個人の生活が一番出るところだと思います。
暮らしの中で何を優先させて予算を配分させていくか、個人の価値観で決めていくところです。
食費は収入の何割、家族での遊興費は1回いくら、と世間一般の平均に合わせるのではなく、自分たちが思い描く生活をそのまま予算化します。
私は、食費、車、仕事、旅行、ほしいもの、服飾、書籍、日用品、化粧品、と分けて予算配分しました。細かいね!
全てその月で使い切るのではなく、車、仕事、旅行、ほしいもの、服飾は、必要になる額が大きいので一旦それぞれ封筒にプールしておき、必要になったらそこから出す方法を取ります。特別支出も各項目ごとの費目から出すことに。
食費、書籍、日用品、化粧品は、1ヶ月使い切り。余ったら預金に回すようにします。
費目がすごく細かいのは私なりのやり方で、ほぼ今までのお金の管理方法と一緒です。林先生は、費目の数は5つ以内を提唱しています。費目の数が多すぎると管理が面倒になるから。
でも、私は費目が少ないとかえってごちゃごちゃになるような気がして、細かく分けています。
ここらへんはまた臨機応変に変えていく予定です。

 

それにしても、予算がとにかくきつきつ。
昨年多かった美容費は、まず美容院でのカラーをセルフにすることにして大幅に削ることにしました。
基礎化粧品も、今使っているラインよりも安めのものに。メイクはしばらくドラッグストアのプチプラ用品にしていこうと思います。
ほかにも多かった管理不能支出の仕事費は、当面そのままに。ここはやっぱり必要なので。管理可能支出の方での仕事費の見直しをしていこうと思います。
そして、今年は何回か旅行を計画しているので、旅行費の予算を多く取ることにしました。楽しみー
あとは、収入を増やしていかなければならないなと痛感しました。
やりたいこと、将来のことを考えると、もっと収入が欲しいなというのが正直なところ。
お金はやはり、大事なものです。
仕事を根本的に見直すことに決めました。

 

予算オーバーしたり、私のようにきつい場合は、管理不能支出の見直しをするべきだと本では書かれています。
しかも、腹をくくってやるようにと。ここらへん、林先生厳しいです。
家賃、カードの年会費、スマホのプラン、車、サプリなどなど、本当に自分にとって必要か、妥当な額か、深く深く見直すこと。
自分にとって必要であれば、ほかの人にとって不必要でも全然構わないんですよね。でも、ひつようかなあ…?とすぐに頷けないものに関しては、再考の余地があります。
私は、デパートのカードをひとつ解約することにしました。
スマホも、春頃に一度ショップに行ってプランの見直しをしようと思っています。
見直すものはまだまだほかにもありそう。ひとつひとつ、本当に必要かどうか考えてみようと思います。

 

この予算立てとシステム作りは一度やればOKではなく、自分たちの生活のペースに合ったものを作るまでに、時間がかかります。
やっていくうちに、この費目は少なすぎた、こちらは多すぎた、というものが必ず出て来ます。
また、生活は不確実性を伴うもの。予測していなかった出費も出て来ます。
予算を確定していくまでのポイントやアドバイスも、本には細かく書かれていますので、これから参考にしていく予定です。

 

さて、ここでひとまず①家計の実態を把握する→②予算を立てる、までできました。
そのあとの「③見直す」はこれから数ヶ月、1年単位でやっていきます。
また、本には、預金の管理や、10年単位での中・長期の家計管理のポイントも書かれています。ここも参考になる点がいっぱい。
もう少し預金を増やしたら、もっと本を読み込んで実行していこうと思います。


そして、この本には、スタッフが実際に「正しい家計管理」を体験した記録も載っているんですね。

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家庭がある方、独身がある方で4通り。皆さん四苦八苦されていて、とてもリアルです。

こう言ってはなんですが、皆さんの試行錯誤に、正直安心しました。私だけがじたばたしてるような気持ちになっていたものですから…
お金の使い方はほんと千差万別ですね。奥深い。


今回「正しい家計管理」の本に沿って家計を見直してみたのですが、私は、お金のことを考えながら、同時に、どう生きたいかということを常に考えていました。
お金とどう付き合うかは、その人の人生観を表していると言っても過言ではありません。
予算立てで苦労したり、自分の収入の少なさにちょこっと落ち込んだりしながら、それでもお金について考えるのはとても楽しいことでした。
自分のやりたいことを実現していくためにお金を貯める計画を立てることに、ただただわくわくしたんですね。
幸せのために、お金を大切に使う。
それを、試行錯誤しながらやっていこうと思います。

 

 

正しい家計管理

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