白い猫の来た道

日々つれづれ

本を読んでいます

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 本を読んでいます。
ええ、本を読んでいるのです。
物心ついた頃から本を読んでいる記憶が随所にあるのですが、最初に読んでいたのは家にあった日本昔話の全集みたいなもので、その本を繰り返し繰り返し何百回と読んでいました。
一番覚えている話は「キジも鳴かずば」。
ちなみにこちらです。

まんが日本昔ばなし〜データベース〜 - キジも鳴かずば
救いようのない暗い話ですね。


小中高大学と順調に読書三昧の日々を送っていましたが、働いてからのちの20代の頃はあまり読めませんでした。
仕事に心を持っていかれてへとへとで、本を読む余裕がなかったんですね。
漫画を軽くと、エッセイ、大好きな宮部みゆきさんの小説。そのくらいしか読んでいませんでした。
ですから、00年代にデビューし、今大活躍の作家さんに疎いのです。

 

やがて30歳を過ぎて心に少し余裕が出てきて、空いている時間に本を読む生活が戻ってきました。

でも最初、あまりに続けて本を読むことができなくて、自分にびっくりしたんですよ。
数ページで疲れてしまうのです。
使わないと筋力が落ちてしまうのと同じで、本を読む体力が衰えていたんですね。
それを克服したきっかけは、ハリー・ポッターのシリーズでした。
シリーズ全7作。途中からハードカバーでは1作上下巻に分かれるので相当な量です。
ちまちまと少しずつ読み始めたシリーズでしたが、最後にはもう本にのめり込む勢いで読み耽りました。
最終巻「ハリー・ポッターと死の秘宝」の下巻といったらもう…。スネイプ先生!!!
夜中に読み終わって明け方近くまで泣いた本はあの限りです。スネイプ先生…
ハリー・ポッターの文章量に鍛えられたのか、その後順調に本を読めるようになり、今では学生の頃より本を読んでいます。とにかく読書が楽しくて仕方ないのです。


「30歳を超えると本が読めなくなる」という言説がありますが、一面真理ではあるのでしょう。
仕事が忙しくなったり、家庭が忙しくなったりし始めるのがこの年代です。体力や集中力の持ち方がそれまでと変わって無尽蔵ではなくなるのもこの年代です。
でも、あんまり年齢は関係ないかなというのが今の私の実感です。だって私は今が一番読めていますから。
世間で言われる「○○歳になると〜になる」「○○歳までには〜した方がいい」という話は、とても個人差があるので振り回されない方が良さそうです。
でも、50代の方がおっしゃっていた「老眼になると本を読むのが少し辛くなる」というのはかなり現実味があるのですよね…


たくさん本を読めばいいというものではありません。
たくさん本を読んでいる人が偉いわけでもありません。
何かの役に立つわけでもなさそうです。
でも、私は今、とにかくたくさん本を読みたいのです。
読みたい本がたくさんありすぎて追いつけていないのです。
何がそんなに面白いのか自分でもよくわからないのですが、とにもかくにも本を読むのが楽しいのです。
楽しければ、それでじゅうぶん。
死ぬまで解消できなそうな読みたい本の量に身悶えしつつも、なんて幸せなのだろうなあと思います。
生活に支障がないように気をつけつつ、自分のペースで読み続けていきます。

「暮らし」が楽しい

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「暮らし」が楽しい。


ご飯を作って。洗濯して。掃除して。眠って。
毎日繰り返し誰もが行う、そのなにげない生活が楽しい。

 

生活系雑誌に出てくるような素敵な部屋でもなく、

Instagramで人気があるようなおしゃれなご飯でもなく、

名のある良い家具や食器があるわけでもなく、

生活全般に何か一家言あるわけでもないのだけれど、

ごくごく地味で、ささやかな、自分の暮らしの営みを作っていくことが、とてつもなく創造的で、面白さや楽しさに満ちていると思うのです。


誰かと比べなくてもいいし、誰かに評価されなくてもいいもの。
時間があればゆっくりと。忙しければ手早く。臨機応変に。

 

どうしたら自分が居心地よく暮らせるか試行錯誤するのが、こんなに楽しいことだとは、30を過ぎる頃まで全然知りませんでした。
そして最近気付いたことは、心に余裕がないときは、暮らしを楽しむことができなくなるということ。
自分の今の状態を知るひとつのバロメーターになっています。

 

暮らしは、死ぬまで繰り返していく毎日の営み。
それを自分なりに、あれこれ楽しんでやっていきたいと思います。

2月に読んだ本

2月に読んだ本です。
2月は小説が多かったですね。
蜜蜂と遠雷」の存在感がダントツです。とにかく凄かった。素晴らしかった。
「ソロモンの偽証」も続きが楽しみです。
宮部みゆきさんの現代ミステリーは生々しく心を抉ってくるので、読むのに気合がいるのですけれどもね。

2017年2月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3705ページ
ナイス数:162ナイス

闇の守り人 (新潮文庫)闇の守り人 (新潮文庫)感想
守り人シリーズ第2弾。主人公の女用心棒バルサが、自分の運命、過去と対決するお話です。それにしても、なんという豊かな世界観なのでしょうか。人間が不思議な生き物たちと共存する世界。文化も歴史もきちんと織られ、練られ、バルサたちの住む世界が、彼らが懸命に生きる姿が、色鮮やかに目の前に顕現します。厳しい寒さと、美しく透明な青い光を感じながら、繰り広げられる物語の陰影に心が強く引き込まれました。読後は、とても満ち足りた気持ちです。
読了日:2月3日 著者:上橋菜穂子
海賊とウェディング・ベル―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)海賊とウェディング・ベル―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)感想
常識のすべてを蹴倒している怪獣夫婦の大活躍譚。ジャスミンの漢前ぶりが惚れ惚れするほどかっこいい。しかしながら、そんなジャスミンに「実は男だな?!」と言う義兄弟が、本人から文字通りの鉄拳制裁を食らっていたのには同情の余地ありですね…。すかっと爽快な読後感でした。
読了日:2月5日 著者:茅田砂胡
のぼうの城 下 (小学館文庫)のぼうの城 下 (小学館文庫)
読了日:2月5日 著者:和田竜
夢の守り人 (新潮文庫)夢の守り人 (新潮文庫)感想
守り人シリーズ第3弾。主人公のバルサのほかに、1作目に登場した皇太子チャグム、タンダ、トロガイ、シュガが再登場します。花が産み出す、人々の願望としての夢。あちらとこちらの世界。昼と夜の狭間。「生きたい」と願う人々の想いの強さ。ページをめくると、一瞬にして極上の「夢」が見られます。世界観だけではなく、深みのある人物描写も共に丁寧に作られた不思議な物語は、贅沢な白昼夢のようでした。
読了日:2月6日 著者:上橋菜穂子
逆転のクレヴァス―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)逆転のクレヴァス―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)
読了日:2月9日 著者:茅田砂胡
ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)感想
映画化もされ、前評判も良い本作にいよいよ着手です。文庫で全6巻。1巻は事件のほんの序章です。1990年、クリスマス未明に、中学2年生の男子生徒が学校で転落死した。自殺として片付けられたものの、関係者に広がる疑念と不穏な動き。校内でのヒエラルキーに、生まれる理不尽な優劣、子供にはどうすることもできない家族の問題など、思春期特有の閉塞感と焦燥感に満ちていて息苦しかったです。そうだった。中学生ってそういう時期でした。事件が事件を呼び、今後さらに荒れそうな予感。引き続き読み進めていこうと思います。
読了日:2月11日 著者:宮部みゆき
クラッシュ・ブレイズ - オディールの騎士 (C・NOVELSファンタジア)クラッシュ・ブレイズ - オディールの騎士 (C・NOVELSファンタジア)
読了日:2月12日 著者:茅田砂胡
ファロットの休日―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)ファロットの休日―クラッシュ・ブレイズ (C・NOVELSファンタジア)感想
クラッシュ・ブレイズシリーズ最終巻。といっても次のシリーズにすぐ繋がるようなので、いったんの小休止といったところでしょうか。今回はレティシアとヴァンツァーが中心のお話。掌編2つ、小気味良く楽しめました。ヴァンツァー中心回はいつも面白く感じるので、これからも活躍してほしいなあ。
読了日:2月13日 著者:茅田砂胡
上流階級 富久丸百貨店外商部II上流階級 富久丸百貨店外商部II感想
百貨店外商のお仕事小説第2弾。上流と呼ばれる層独自のお作法やお買い物事情を面白く読ませながらも、マイノリティの孤独に切り込んだお話作りにぐっと引き込まれました。『寂しさに貧富の差はない。』そこにどう向き合うかは、その人そのものの生き方に繋がる。それぞれの登場人物のそれぞれの孤独に自分を照らし合わせながら読み、最後の桝家実母の言葉に胸が温かくなるのです。1作目よりも断然面白かったです。ぜひとも続きを読みたいです。
読了日:2月17日 著者:高殿円
世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ感想
2012年にリオデジャネイロで開かれた国際会議で、ウルグアイのムヒカ大統領が演説した内容を、子供がわかるように意訳した絵本です。当時話題になった演説を、私も動画で見ました。「80億人の全人類が、贅沢の限りを尽くしてきた西洋社会と同じようにものを買ったり無駄遣いしたりできると思いますか。そんな原料が、今この世界にあると思いますか」行きすぎた経済優先の世界で、その下敷きに犠牲になる人々と、環境、世界。本当の幸せとは、いったいなんでしょう。ムヒカ大統領のシンプルな言葉が、心の最も深いところに語りかけてきます。
読了日:2月18日 著者:
蜜蜂と遠雷蜜蜂と遠雷感想
こんなに幸せな読書体験は本当に久し振り。国際ピアノコンクールを舞台にした小説です。「私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?」の帯に胸を痛めながら、読み始めたらブラックホールのように強烈に物語に引き込まれました。圧倒的な表現力で奔流のように流れる音楽が描写され、コンテスタントたちが背負い立ち向かう才能の光と陰に、心が震えます。音楽に携わる者としては涙なくして読めず、そこかしこで鳥肌を立てながら読み切りました。すごい。凄い。それしか言えないほどの面白さ。実際に観客として目撃したような興奮の読後感です。
読了日:2月22日 著者:恩田陸
人質の朗読会 (中公文庫)人質の朗読会 (中公文庫)感想
遠い国で拉致され、人質になった日本人8名。発生後100日以上経ち、軍と警察が強行突入した結果、犯人が仕掛けたダイナマイトにより人質は全員死亡した。残されたのは人質が自分たちの過去の物語を朗読したテープ。その朗読が、この小説の内容となっています。人生の中で、不意に邂逅した人々のお話。凸凹がありありと感じられるほど、リアルな人間の感触。茨木のり子の詩に「死こそ常態 生はいとしき蜃気楼」というものがありますが、本書には、人質ひとりひとりの、はっとする鮮やかないとしい蜃気楼が浮かび上がるのです。
読了日:2月26日 著者:小川洋子
天使たちの課外活動 (C・NOVELSファンタジア)天使たちの課外活動 (C・NOVELSファンタジア)
読了日:2月27日 著者:茅田砂胡

読書メーター

2月が終わります

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 2月が終わるんですってよ。
早いのか遅いのか。いや、遅いです。まだ今年が始まって2ヶ月しか経っていないのが信じられない。お正月が半年くらい前の気分。
昨日は落ち込んでおりましたが、たくさん寝たら浮上しました。
でもまだちょっと本調子じゃないみたい。
言葉の刺激が強すぎるほど感じられます。
早めにお風呂に入ってゆっくり寝よう。


朗らかに、穏やかに暮らしたいなあとおもうのですよ(突然)。
でも、なぜだか、今のままのあなたではダメだから、こうしなさい、ああしなさい、という情報にあふれていて、自分のことでも、他人のことでも、その圧を感じると時々しょんぼりしてしまうのです。


成長し続けないと生き残れない。
収入が低いのは努力が足りないからだ。
好きなことを仕事にしないとね。
老後のことを考えると今の貯金では足りませんよ。
パートナーがいない人は人として魅力がない。
女性は美しくあるべきだ。
美しさにかまけている女性は中身がない。
女性は子供を持たないとわからないことが多いですよ。
前向きでいないと人は離れていく。
自分を好きでない人を、どうして他人が好きになってくれるの。
もっと○○じゃないと愛されませんよ。
あなたそんなだからダメなんだよ。もっとこうしなきゃ。ああしなきゃ。


すごいなあ。ダメ出しの連打だなあ。高橋名人も真っ青のテクニカルな連打だなあ。
きちんとしたアドバイスももちろんあって、困っている人の助けになることはあるでしょう。
でも、高い場所から反論できない言葉をただ投げつけているだけのものも多い。
ただただ世の中の空気がそういう圧を形成しているだけのものもあったりする。
なんて厄介。


繊細で心優しい人ほどたくさん傷を負っているように思うのです。
一番良くないのは、圧に負けて自分で自分を責めてしまうこと。
朗らかに、穏やかに暮らすためには、氾濫する情報や四方八方からやってくる圧をするりするりと抜ける技が必要みたい。
ただぼんやりしているだけでは、大波にさらわれてしまいそう。
自分を整えて保つ方法。
自分のペースで生きること。
ぼちぼち探してやっていこう。

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 自分の自信のなさゆえの失敗をしてしまってへこみ中です。しょぼぼ。
自分を過大に見せず、かといって卑屈にならず、等身大の自分のままでいればいいのに、それが難しい時がある。
前よりはできるようになってきたとは思うけれど、それでもとっさに自分を繕ってしまう。しょぼぼ。
誰かに言われたことを必要以上に捉えてしまうのは、自分の中に理由があるのだ。


弱い自分をきちんと受け入れている人は、かえって強い人に見えると最近思うのです。
誰かに受け入れてもらうことを望む前に、自分で受け入れたい。
ふー。思う存分へこんだら、またこつこつやっていこう。